こんにちは。合同会社ピットインプロジェクト代表の宮下和也です。
戦略にはコンサルティング会社、経理は税理士、労務は社労士、採用は代行会社。分野ごとにきちんと専門家へ任せているのに、社内でいちばん忙しいのは経営者本人。
そういった状況に、心当たりのある方もいるのではないでしょうか。
外注を増やしたのに、自分の仕事は減らない。むしろ増えていく感覚さえある。妙な話に聞こえますが、構造から見れば当然の結果です。
私は成長期の会社の管理体制を分野横断で立て直すことを仕事にしています。
本記事では外注しているのに手が空かない理由と、コンサルティングでも事務代行でもない三つ目の選択肢、外部の管理部長という機能の持ち方について書いていきます。
【↓↓忙しい方のための目次です↓↓】
専門家が増えるほど、境目の仕事が増えていく
税理士は申告の、社労士は手続きの専門家です。依頼した範囲については、確実に処理してもらえます。
ただし分野と分野の境目は、どの専門家の受け持ちにも入りません。
たとえば給与の計算結果を経理の処理へ渡す作業は、誰の担当でしょうか。内定者の契約書と社会保険の届出、機材の準備を抜けなく進める役割は、どこに置かれているでしょうか。
実際には、そのほとんどを経営者が引き受けています。
会社の課題が専門分野の境目に落ちていく構造は、別の記事で詳しく扱いました。ここではその先、境目を誰が引き受けるのかという話を進めます。
フリーランス市場の拡大とオンライン前提の働き方によって、業務を外へ出すこと自体は容易になりました。ただし外注が減らすのは作業の量であり、統合や意思決定、品質の確認といった仕事はかえって増えます。
依頼先が3社あれば、自社との接点は最低でも3か所生まれます。この構造があるために、専門家に囲まれていながら経営者が管理部門の責任者を兼ねる会社が、数多く生まれています。
依頼先の選択肢は、2つだけではない
外部へ依頼しようとするとき、経営者が思い浮かべる候補は多くの場合2つに絞られます。
ひとつはコンサルティングです。
分析と提言を担う専門家ですが、多くの場合は提言までが業務範囲で、動かすのは自社になります。方針は手元に残るものの、実行役が経営者ひとりのままでは現実は動きません。
もうひとつは事務代行やBPOです。
手は動かしてもらえますが、指示を受けて動くことが前提の業務です。何をどう依頼するかを設計する役割が社内に不在であれば、依頼そのものを組み立てられません。
どちらも価値のある仕事です。ただ、分散した発注をまとめて品質を確認する作業が経営者の手元へ戻ってくる問題は、どちらの形でも解けません。
ここで三つ目の候補として挙がるのが、外部から管理部長機能を持つという形です。
経理や労務、人事、総務、法務にまたがる部門を一括で受け持つ、社外の実行責任者を指します。助言だけで終えることも、決められた作業を繰り返すこともなく、経営者の方針をもとに仕組みをつくり、実行して定着させるところまでを引き受けます。

散らばっていた依頼先とのやり取りは一本にまとめ、経営の判断を数字の面から支える立場です。
なぜ「雇えばいい」という結論にならないのか
順当に考えれば、社内に部長を採用すれば済む話です。しかし、ここには3つの壁が立ちます。
ひとつめは費用です。
成長段階の会社では、複数の領域を兼ねて広くカバーできる人材が要ります。管理部長に絞って見ても募集の相場は年収800万円台からで、社会保険料まで加えた会社側の負担は、毎月90万円前後の固定費に膨らみます。
ふたつめは、該当する人材がそもそも市場に少ないことです。
経理と労務と人事、さらに法務まで理解している人材は、大企業の管理部門を探しても多くはありません。
みっつめは、運よく採用できた場合に起こります。
今度はその一人へ会社が依存する形になり、属人化という課題が経営者からその人へ移動するだけになります。
ここで参考になるのが、経済学の取引コスト理論です。
組織の境界がどこに引かれるかは、その機能を外から調達するのと内部に抱えるのとで、どちらの負担が小さいかによって決まるという考え方になります。
人数の少ない会社にとって、管理の機能は内部に抱えるには重く、分散して調達すればまとめる手間が高くつきます。
ですので現実的な解は、まとめて借りるという形になります。専任を迎える日が来るより先に、機能の側だけを確保してしまうという発想です。
外部化の価値は、安さではない
ひとつだけ、強調しておきたい点があります。
この形を費用の削減として捉えてしまうと、判断を誤ります。判断が遅れれば、その分だけ会社の拡大も後ろへずれていくからです。
兼務していた担当者が一人抜けただけで管理が崩れ、そこから動けなくなった会社を、私はいくつも見てきました。
機能を外へ置く本当の理由は、会社を止めずに前へ進め続けることにあります。

弊社の進め方――診断を起点に、4通りで実行する
弊社がどのように進めているかも、参考までに記しておきます。
ご支援の入口は、会社の棚卸しです。
独自に作成した240項目のチェックリストを用いて、人事や経理といった管理領域から会社の戦略までを横断的に確認し、現在地と課題を洗い出します。
洗い出した内容をもとに、改善に向けた進行計画を組み立てます。
進行中はおおむね3件のプロジェクトが同時に走り、ひとつ完了すれば次が立ち上がります。これを繰り返すことで、会社の土台が順を追って整っていきます。
各プロジェクトの進め方は、ひとつに固定していません。
課題の中身と社内の手持ちに応じて、次の4つを使い分けます。

助言する
進め方さえ分かれば社内で回せるものは、助言を通じて進行を支えます。
一緒にやる
担当者の方と並んで手を動かしながら、進める過程で型をお渡しします。
引き受ける
手の足りていない業務については、実務ごと私たちが巻き取ります。いわゆるBPOにあたる形です。
採用から作る
それでも空いたままになる機能は、担い手を採るところから組み立てます。
お気づきかもしれません。コンサルティングか代行かという二者択一そのものが、問いの立て方として成立していないのです。
助言も並走も、代行も採用も、状況に応じて選び分けていく。この采配ができることこそ、管理部長と呼ばれる役割の実体だと考えています。

そして、どの形をとる場合でも守っている原則があります。
支援を終える時点で、社内に仕組みと担い手が残っていることです。私たちが実務を回している間も、並行して御社の担当者を育てていきます。
この役割は、外部にとどまり続けるためのものではありません。社内に管理の機能を育てるための役割です。
依頼先を選ぶときに確認したい3つの点
検討される場合は、相手が私たちであっても他社であっても、次の3点をご確認ください。
受け付けの窓口はいくつあるか
部門をまたいで受けてもらえるかどうかです。一部の分野に限られるのであれば、まとめる仕事は経営者の手元に残ったままになります。
仕組みが残る契約になっているか
マニュアルの整備や引き継ぎ、担当者の育成が契約に含まれているかどうかです。含まれない外注は、契約が終わった時点で元の状態へ戻ります。
方針の決定を助けているか
経営判断を支えられない立場であれば、部長とは呼べません。
さいごに
このまま人数が増えると管理がもたなくなりそうだ。そうしたご連絡をくださる経営者がいます。まだ実害は出ていないものの、感覚としてつかんでいる状態です。
別の記事でも触れたとおり、組織の行き詰まりは人数の順に訪れます。ですので、この予感はたいてい的中します。そして予感の時点で手を打った会社が、結果として最も費用をかけずに済んでいます。
▼専任の人事は何名から必要か?規模ごとに変わる3つの判断基準

走ることをやめずに土台を整える。弊社が経営のピットインと呼んでいる考え方です。
▼経営者はどうすれば考える時間をつくれるのか?未来の判断が後回しになる構造

無料相談のご案内
自社の管理機能のうち、動いているのはどこで、空白になっているのはどこか。現在地の確認から始められる無料相談を実施しています。
自社の管理部長は実質的に自分かもしれない。そう思われた方は、お気軽にお申し込みください。
▶ 無料相談(60分・Zoom)のお申し込みはこちら
https://pitin-pj.online/contact
▶ 総合バックオフィス支援のサービス詳細はこちら
よくあるご質問
Q. 外部の管理部長は、どのような立場ですか?
A. 経理や労務、人事、総務、法務にまたがる管理部門を一括で受け持つ、社外の実行責任者にあたります。提言までを担うコンサルティングや、指示された作業を処理する事務代行とは立場が異なり、経営方針をもとに仕組みをつくり、運用が定着するところまで引き受けます。
Q. コンサルティング会社や代行業者とは、どこが違うのですか?
A. 受け持つ範囲と、担う責任の性質が異なります。コンサルティングは提言する立場、事務代行は作業する立場であるのに対し、外部の管理部長のほうは、方針を前提に共に実行する責任者という位置づけになります。窓口が一本にまとまるため、散らばった発注をまとめる作業が経営者へ返ってこない点が、最も大きな違いになります。
Q. 実務は自社で行うのですか、お任せできるのですか?
A. 案件の性質によって変わります。助言があれば社内で回せるもの、担当者と並走して進めるもの、弊社が実務ごと巻き取るもの、担い手の採用から組み立てるもの。この4通りから選びます。着手の前に240項目の診断を行って課題を特定し、そのうえで適した形をご提案する流れです。
Q. 費用はどのくらいかかりますか?
A. 社内で採用するなら、募集の相場は年収800万円台からです。会社側の負担は毎月90万円前後にのぼります。外部人材であれば、助言が中心の顧問で月20万円前後が中央値です(出典はパーソルの調査、ハイクラス層の数値)。実行まで担う形はこれより上の価格帯となり、弊社は月額35万円から50万円、単月更新でお受けしています。
Q. どのような会社に適していますか?
A. 中心となるのは、従業員が20名前後まで、売上で1億円から20億円の成長企業です。専任を迎えるにはまだ早い、けれども管理の機能は今日も必要になる。このずれが生じている時期に、最も効果が出ます。人数が30名を超えるころには社内へ専任を配置し、外部の側は育成側へ回るのが自然な移行の形になります。

